競争戦略論
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競争戦略論
私たちは常に特定の枠組みに依拠して物事を認識している。枠組みを持って物事を見ることは、色眼鏡をかけているようなもので、誤った見方につながるだけだと考える人もいるかもしれないが、枠組みを持たなければ物事を理解することは難しい。
ただし、物事を理解するうえで、唯一の正しい枠組みがあるわけではない。そして、物事をより深く理解するためには、なるべく多くの枠組みを持ったほうが望ましい
経営戦略の理論とは、「儲かる企業と、儲からない企業がいる」という現象を理解するための概念枠組みなのである。そして、より多くの枠組み(理論)を身につけることによって、この「儲かる企業と、儲からない企業がいる」という現象を、今まで以上に深く理解することができるようになる。
この本では経営戦略は「企業の将来像とそれを達成するための道筋」として定義されている。より平易な表現をすれば、個々の企業が「どうありたいか」と考え、その理想とする状態に「いかにしてたどり着くか」ということだと、言い換えることもできる。
日本企業の多くは顧客に喜ばれるために、他社よりも良いものを安く提供するために、必死に働いている。「よいもの」を作るという点で自信を持っていう企業はいまだに多い。ところが、利益にならない。なぜか。良いものを安く作るという能力を蓄積することは、優れた経営戦略を実現する条件の一つにすぎないからである。つまり日本企業には戦略の「内」へのバイアスがかかっているのである。
一方で、1980年代のアメリカ企業は短期的な利益確保に奔走するあまり、儲かる事業を見つけては投資し、儲からない事業からはさっさと撤退するという事業の切り貼りを続ける一方で、企業内部の経営資源の地道な蓄積を怠ってきた。つまり「外」に注目した戦略のバイアスが強かったのである。
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